山と道 Three は、国内ULザックの中でも代表的な存在。40Lクラスでありながら重量は700g前後と超軽量。テント泊や縦走にも対応できる容量と耐久性を備えつつ、フレームレスならではの自由度ある背負い心地が特徴です。自分が初めて買ったULザックで、6年間使ってきた感想を紹介します。
製品概要・スペック
- 容量:M 約40L/L 約45L
- 重量:約682〜715g(仕様・サイズにより変動)
- 生地:X-Pac(耐水・耐摩耗性に優れる)
- フレームレス設計、ロールトップ仕様
- ポケット:大容量フロントポケット(Standard/Mesh/Zip)、伸縮サイドポケット
40Lクラスで700g前後と超軽量ながら、UL初心者でも扱いやすいザックです。
購入理由

Threeを買う前に僕が初めて買った登山用ザックはオスプレー「ケストレル38」で小屋泊・テントに使ってきました。使い勝手の部分では特に不満はなかったものの、腰ベルトがガッチリしすぎて快適に歩けない、重量約1.9kgと重いことに不満がありました。
当時は山と道Miniが流行り始めていたのですが、軽量な登山道具が揃っていなかった当時の自分にはMiniの30Lという容量は小さすぎて、新しく出てきたThreeの40Lはすでに使っている道具をそのまま入れられる絶妙なサイズがピッタリハマりました。またザックの上部の角が生えたような独特のシルエットは当時のULザックの中でも際立っていて、山と道の夏目氏が背負っている姿に憧れたのを今でも覚えています。
そんなことから次に選んだのが「山と道 Three」でした。
詳細レビュー
背負い心地

Threeを初めて使って驚いたのはテープ式ヒップベルトがしっかり腰荷重の役割を果たしてくれるところ。オスプレーのようなガッチリ骨盤を固定するピップベルトと違い、腰の自由度が高く、岩場や段差で身体をひねるときもスムーズ。フレームもなく、ベルトもクッション無しの簡素な作りにもかかわらず、縦走登山や沢歩きの長い行程でも肩や腰の疲労感は想像以上に少なく、ULザックは軽さのために快適さが失われがちという印象をいい意味で裏切ってくれました。
ショルダーベルトも、Miniには無いロードリフターのおかげで背中にザックの重心を近づけることができて、上半身の負担も少なく感じました。
軽さの恩恵

ケストレル38が約1.9kgに対して、Threeは700g台。ザックだけで1.2kgの軽量化です。数字以上に体感できたのは「歩きやすさ」。ザック自体が軽いのでバランスを崩しにくく、長時間歩いても背中が重く感じません。特に下り坂で脚に来る負担が減り、翌日の疲労が明らかに軽くなったのが印象的でした。
使い勝手

- サイドポケット:サイドポケットの開口部が広く、よく伸びる素材なので、ショルダーベルトを緩めるだけでボトルにアクセスして出し入れできます。いちいちザックを降ろす手間がありません。
- フロントポケット:大容量でヘルメットや雨具を突っ込める頼もしさあり。濡れたものを分けて入れたり、ヘルメットを使ってない間丸ごと入れて置けるなど重宝しました。。
- ロールトップ:容量調整がしやすく、夏のテント泊装備から秋冬の装備まで容量の増減に対応しやすいです。開口部が大きく出し入れしやすいのも気に入ってます。
- ベルト、ループ類での外付けがしやすい:サイドにコンプレッション用のベルトは、サーマレストなどのクローズドセルマットのような太いものもそのまま固定できるくらい長く使い勝手が非常にいい。このあたりは山と道Miniと比べて、Threeが優れているポイントだと思います。
- 生地の強さ:本体に使われているX-Pacは防水性も高く、多少の雨ならカバーなしで大丈夫。ザックの生地が水を保水しにくく、岩に擦っても穴が開く気配がないくらい耐久性も高い。雑に扱っても不安がないのは大きな安心感です。軽さのために耐久性が低いわけではない。

気になる点

- 荷物が少ないときのパッキングに難あり
荷物が少ないと形が崩れ、背負い心地が落ちます。自分の感覚ですが、容量25Lを切るような小屋泊装備だと形が崩れ、快適さが損なわれがち。適正は30〜40Lくらいでしょうか。この“適正ゾーン”から外れると快適さが大きく落ち、1つのザックでオールラウンドに対応したい人には不向きかもしれません。初めてザックを買う人は自分がよく行く山行スタイルを考え、本当にThreeの容量が必要化考えたほうがいいでしょう。日帰り、小屋泊が多い人は山と道Miniのほうが向いているかもしれません。 - サイドポケットの耐久性
旧モデルのサイドポケットは出し入れしやすく便利な反面、口元のゴムが伸びやすく、使い込んだ自分のThreeはサイドポケットがゆるゆるで中身が飛び出すことがあります。現行モデルではサイドポケットをショックコードで絞れるようになって、ゴムも交換可能に改良されていますが、旧型を使う人はゴムが伸びたら修理対応が必要です。 - フロントポケットの使い勝手
フロントポケットも容量が大きいゆえに中身が少ないと“だぶつき感”が出て形が崩れます。ポケットが大きいことはヘルメットなどたくさん荷物を入れるときは非常に便利ですが、Xpacの生地の硬さのためかフロントポケットの口をあまりきつく絞れないのもあり、荷物が少ないときは不意に中身が飛び出すリスクも。パッキングに自身がない人はフロントポケットにファスナーがついているタイプがおすすめ。
購入方法
山と道の直営店、オンラインストアで買うか、その他の正規取り扱い店で入手が可能です。現行モデルはサイドポケットのゴム交換対応や生地の選択肢が増えたりと細部の仕様変更が加わり、さらに完成度が高まっています。
メリット・デメリット

メリット
- 700g前後の軽量設計
- 40Lでテント泊も対応
- 腰荷重と自由度の両立
- 耐久性の高いX-Pac素材
- 独特のデザインで所有欲も満たす
デメリット
- 荷物が少ないと形や背負い心地が不安定
- サイドポケットが伸びやすい(旧モデル)
- フロントポケットは荷物が少ないと形が崩れやすい
まとめ

山と道 Threeは「軽量化の楽しさ」を実感させてくれた初めてのULザックでした。テント泊デビューにもおすすめで、見た目もスタイリッシュ。最新モデルは改良も進んでいるので、ULに挑戦したい人におすすめしたい一品です。
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