フィルムスキャナー エプソンGT-X830レビュー

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登山と並んで自分が趣味としている写真道具のレビューです。

現代のフィルム写真家には欠かせない、フィルムをデータ化するための道具であるフィルムスキャナーをを紹介する、超ニッチな記事になります。

フィルムスキャナーって?

フィルムスキャナーとはコピー機の上にあるスキャナー部分が独立したような商品になります。

スキャンしたい紙などを置いて蓋を閉じると、ガラス板の下にある撮像素子が動いて撮影し、データ化してくれます。フラットベッドスキャナーと呼ばれるジャンルになります。

本来は書類のスキャンに使うものですが、一部の機種は蓋の裏側にLEDが内蔵されていて、フィルムのスキャンができるようになっています。

フィルムをスキャンするには、フィルムの裏側から光を当てる必要があるので、スキャナの中でも専用の商品でないとデータ化できません。エプソンはフィルムスキャン対応のスキャナーを販売しており、紹介するGT-X830と、上位機種であるGT-X980はフィルム写真家の中では定番のスキャナーとなっています。

フィルム写真を始めた5年前に導入し、撮影したフィルム写真をデータ化するのに活躍していましたが、色々あって手放すことにしました。

フィルムスキャナーを導入した理由

昔はフィルム写真を撮ったらプリントして保管/シェアするのが普通でした。今の時代はSNSでも共有するし、データ化するのが必須です。

私はフィルムカメラを使い始めてしばらくは家電量販店やプリントショップでデータ化していました。フィルムを現像するときにデータ化を依頼すると、仕上がりの際にCD-ROMにデータを入れて返してくれます。このデータ化サービスが、値段が高い上に画質がイマイチでどう考えてもコストに見合ってないな〜と思っていました。

フィルム一本をデータ化するのに、現像とは別に約600円払って、200万画素のデータにしてくれます。ただでさえフィルム代と現像代が金かかるのに、データ化にもお金かかるのか。。。

データ化の画質もイマイチで200万画素ではSNS用にも解像度が低いですし、データ化の際に勝手にお店が?勝手に色を補正してしまうらしくあまり満足できるサービスではありませんでした。

そこからネットを調べているうちに、フィルムスキャナーという商品の存在を知り、Youtubeを調べると、エプソンの下位機種のGT-X830で満足できる画質を得られると判断して、購入に至ったのでした。

Scanning Film w/ Epson V600
当時スキャナーを探していて見つけた動画です。V600はGT-X830の海外での型番になります。

海外のプロの写真家がGT-X830を使ってスキャン方法について詳細に解説していました。これを決め手にGT-X830を買うことに決めました。

GT-X830のいいところ/わるいところ

いいところ

スキャン1回あたりのコストが安い

上にも書いたようにスキャンでデータ化するには低い画質であれば1本あたり600円かかります。GT-X830の場合本体が約3万円ですから、50回スキャンすれば元が取れます。

フィルムを50本もスキャンするの?笑というのは正直ありますが、スキャナーを使えば最大3000万画素近くの高画質でデータ化できるため、50回未満でも十分元が取れる出費だと思います。

デジカメでスキャンする方法もありますが、スキャンに使える良いデジタル一眼レフ本体とマクロレンズを揃えるのにも10万円以上かかりますし、更にフィルムをカメラのレンズにセットする機材も1~2万円程します。(ニコン製の場合)

スキャンに使える高画質なデジカメを持ってない人にとってはフィルムスキャナーが一番経済的だと思います。その中でもGT-X830は価格と得られる画質のバランスが丁度いいです。

後処理不要でデータ化できる

ネガフィルムそのものは色が反転した状態になっているので、スキャンしたあとは現像ソフトで後処理を行って本来の写真の色に変える必要があります。デジカメを使ってフィルムをデータ化する際は、この色の後処理が難しく納得のいく仕上がりにするには時間がかかります。※

デジカメでスキャンした生データ(左)と色を変換したあとの画像(右)

フィルムスキャナーを使うことで、付属のソフトによって自動で変換や、フィルムの余計な部分のトリミングも行ってくれるので、手間がかかりません。※このメリットは近年NegativeLabProというLightroom用の色変換ソフトの登場によって解消されてしまいましたが。。。

適当にやってもスキャンできる

上に書いたようなカメラを使ったスキャンでは、撮影に部屋の明かりなどの外乱光が入るとスキャンの画質が劣化するなど、環境を整えるのに非常に気を使います。

フィルムスキャナーはフィルムをセットしたら、ブロアでホコリを飛ばしてきれいにするだけで部屋の明るさなどは気にせずスキャンできます。スキャナーの中の閉じた空間で、LEDを使ってスキャンしてくれるので、光学的には条件がとても安定しているのです。

悪いところ

スキャンに時間がかかる

フィルムスキャナーはデータの画質を上げるほど、スキャンに時間がかかります。自分の求める画質の場合3000dpi(カメラで言うと約1800万画素)でスキャンすると1枚あたり1~2分。1本のフィルムをスキャンするのに30分以上かかります。しかもウィンウィンうるさい。たまにゴミが付いていたりしてやり直しが発生するとなおさら時間がかかります。正直これがフィルムスキャナーの最大の弱点かもしれません。。。ちなみに画質は3000dpi以上にも設定できますが、それ以上は画質の差がわかりません。おそらくフィルム自体の画質の限界なのだと思います。

ピントの歩留まりが悪い

フィルムスキャンしたデータをよく見ると、ピントが合っていないことがあります。これはフィルムが湾曲していたり、クセがついてフィルムがわずかに曲がっていることでスキャナーのピントから外れてしまう事があるためです。

スキャナにセットしたフィルム。光があたって少し湾曲しているのが見えると思いますが、これでも平らな方。

フィルムスキャナーの中にはレンズとセンサーがついていますが、フォーカス調整はできません。フィルムをどれだけ真っ平らにセッティングできるかが画質に直結するのです。しかしフィルムなんてロールになっている時点でものすごく巻きグセがついていて、まっ平らにするのは困難です。

画質に不満

付属のソフトで自動で色変換と切り抜きをしてくれるのは嬉しいのですが、画質の面でも今ひとつ満足できませんでした。例えばシャープネスが強すぎたり、輪郭強調されすぎていたりと、個人的には不満がありました。かといってじぶんで調整しようにも難しいし。。。

左がデジカメでデータ化したもの、右がフィルムスキャナー。好みは分かれるかもしれませんがスキャナーを使った方はシャープネスかけすぎて不自然な感じになっています。

作例

GT-X830で実際にスキャンした画像をご紹介します。

カメラ:ContaxT2 フィルム:Kodak Gold400
カメラ:ContaxT2 フィルム:Kodak Ultramax400
カメラ:ContaxT2 フィルム:Kodak Ultramax400

まとめ

ということで、いい面も悪い面もあるフィルムスキャナーですが、こちらを導入してからデータ化される画質は圧倒的に上がりましたし、買ってとても満足できる商品でした。コストを抑えたい人にはGT-X830おすすめです。

おまけ

この商品のすごいところは、買ったときは約27000円位で入手したのですが、5年間使ってなんと20000円で売れました。実質7000円で5年間使えたのです。

こんなことが起きるのは、フィルム写真のグッズだけで、理由は新しい製品がほとんど出ないので昔の商品がずっと現行品のままで値下がりしないためです。なんなら値上がりしていっているので大事に使えば手放すときにちゃんとお金が帰ってきます。

また、自分はこのスキャナを手放してデジカメによるスキャンに移行しましたが、その経緯やスキャンの方法については別途記事にしたいと思います。

↓2023.3.25 デジカメスキャンで使っているフィルムホルダーのレビュー記事を書きました。

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