こんにちは、🌼です。久しぶりの投稿だね。
中国ドラマシリーズは、今まで3つを紹介した。いずれも中国で”無人不暁”(知らない人はいない)名作:
中国ドラマ おすすめ 絶対見るべき5作品 (1) 后宫・甄嬛传(宮廷の諍い女)
中国ドラマ おすすめ 絶対見るべき5作品 (その2) 超ヒット作 狂飙(THE KNOCKOUT)
中国ドラマ おすすめ 絶対見るべき5作品 (その3) 琅琊榜
そして、この前のGWで4年ぶりに中国に帰った時、テレビで、まだ「后宫・甄嬛传(宮廷の諍い女)」を放送していることにびっくりした(笑)。既に10年を超えたけど、このドラマは”賞味期限”がないみたいね。
今回おすすめしたいドラマは、本当に新鮮でポカポカ、最近中国で大きな話題を起こしたドラマ。
漫長的季節:サスペンスドラマの最高峰クラスのドラマ
漫長的季節の意味は、長い季節(翻訳いらないかも、笑)。
テンセントビデオで、2023年4月22日から放送されて、今まで1ヶ月ちょいしか経っていないが、中国国内で一番人気のクチコミサイト「douban.com」での評価数は70万を超えた。
そして、その点数は、中国のサスペンスドラマというカテゴリで、最も高い9.4を獲得できた。
(9点以上のドラマは、全部で6作品のみ)
私はこのドラマを見たいと思った理由
中国でトップクラスの俳優が出演
私はこのドラマに最初に興味を持ったのは、主演俳優に懐かしい名前があったから。
主演の範偉(范伟:ファンウェイ)は、中国で誰でも知っている有名人。もちろん俳優としても有名だが、なによりも、お笑いとして、中国のシットコムの王者。90年代の中国の春節晩会(日本でいうと紅白歌合戦)では、彼はほぼ毎年登場し、いいパフォーマンスを披露していた。
お金に困らない、既に中国トップクラス有名で、しかも60歳の範偉が出演するなら、きっといいドラマに違いない、と私は信じていた。
近年高評価で高品質なサスペンスドラマを作った監督の作品
このドラマの監督の辛爽(シンシュアン)はこの数年、中国のドラマ市場をリードする存在。
2020年の夏、彼が監督を務めた「バッド・キッズ 隠秘之罪~隠秘的角落」というドラマが放送されて、中国で空前の注目を集め、話題になると同時に、サスペンス系ドラマの人気が頂点に達した。このドラマのセリフはあの時のトップ流行語になっただけではなく、今でも中国国内で流行っている。
本来、この記事は、辛爽監督の「バッド・キッズ 隠秘之罪~隠秘的角落」を書くつもりだったが、「漫長的季節」を見た後、気持ちが変わった(笑)。
とはいえ、「バッド・キッズ 隠秘之罪~隠秘的角落」もおすすめ。中国のクチコミサイトdouban.comで110万人(!)が評価して、8.8という高得点を取れている。
(ちなみに、douban.comで評価数は100万を超えるドラマの数は3作品だけ)
Amazon PrimeVideoでも見れるから、先にこっちを見てもいいかもね:
話を戻して、辛爽監督の作品が人気の理由は、やはり高品質にある。使っているモノはディテールまでこだわっている、シーン一つひとつは何度見ても新しい発見がある、”こんなところに実は既に伏線あるんだ”と思っちゃう。
その辛爽監督の作品なら、きっと面白い!と信じていた。
どんなストーリー
このドラマは、中国の東北エリアを舞台とし、主人公は3人の高齢男性(50-60代)。ストーリーは、現在、過去(18年前)のシーンやストーリーが織り交ぜて、いくつかの殺人案件に巡って展開されていく。
この18年ということは、タイトルの”漫長的季節”(長い季節)を指している。
以下中国の人民網からの引用
範偉演じる王響は18年後、リストラの波にのまれたほか、一人息子を亡くし、心身ともにボロボロの暮らしをしている高齢男性で、タクシー運転手をして生計を立てている。俳優・秦昊演じる龔彪は、意気盛んな大学卒業生から、ブクブクと太り、失意した中年男性に落ちぶれている。また俳優・陳明昊演じる刑事隊長・馬徳勝は、元々樺林市で最もポテンシャルを秘めた幹部警官だったものの、今ではラテンダンスにのめり込み、高齢者のダンスチームのメンバーになっている。このひっそりと暮らす高齢男性3人は、「ナンバープレート偽造事件」と殺人事件の容疑者との再会をきっかけに、若い頃の情熱を蘇らせ、真相に迫っていく
人民網「サスペンスドラマ「漫長的季節」が大ヒット 豆瓣のレビューが9.2に」
おすすめポイント
全部実力派の俳優と、近年の高評価監督の作品という要素は、既におすすめポイント。しかし、やはりこのドラマは、格別なおすすめポイントを持っている
1.サスペンスだけど、思わずに笑い出すコメディー
先述したように、主演の範偉は、中国で屈指のお笑い芸人だった。
また、中国の東北地方のアクセントも、普段人々の話し方は元々面白さがあり、笑える要素が多い。たとえ中国語が分からなくても、日本語でも、このドラマのネタは、きっとあなたを笑わせる。
今までのサスペンスは、大体暗いイメージ、ちょっと怖いという印象。しかしこのドラマは、始終暖かい色調で、ポジティブなトーンで描かれている。もちろん心を痛めるストーリー展開もあるが、そのポジティブも感じられる、絶望感はない。
サスペンス苦手、という方でも、見れるドラマと言える。
2.無駄がないセリフ、映画クォーリティの撮影
12話しかないけど、なんか1話ずつはとても”濃い”。無駄なシーンはないし、無駄なセリフもない。そして、見返しても、新しい発見があるという、いかにも辛爽監督らしい。
しかも、最近のドラマでよく見られる”ロジックが通じないよね”という感想はこのドラマでは、一切ない。
また、映画っぽいと思った。なぜかというと、光の使い方だったり、道具の細かさだったり、全てがリアリティを語っている。このドラマを見ながら、私は自分の小さい時、2000年代初期を思い出した。
3.中国の経済発展の裏にある社会を覗ける
90年代から、中国の国有企業は民営化をし始めた。2000年代初期に民営化がますます広がって、多くの人はそれらの国有企業から首を切られた、中国では”下岗”(下崗:シャーガン)という。今まで終身雇用のはずだったが、いきなり捨てられて、多くの人々は人生に戸惑い始めた。
このドラマの主人公たちは、まさにその流れの当事者、全てを経験していた。
下崗について、より知りたいなら、以下の記事をご覧ください〜
国有企業は現代的企業制度を導入した結果、「下崗」(一時帰休)労働者を急増させた。「下崗」という言葉が最初に現れたのは1994年頃であったが、この下崗労働者は1996年に892万人、1997年に1200万人になった。そして、1998年年末には1600万人に上り、1999年末頃にはさらに2700万人程度になるとの予測もある。1998年公表された都市部の失業率は3.3%であるが、実際は6~7%にのぼる模様で、実質的な都市部失業人口は約1100~1250万人と内外の専門家は見ている。これは建国50年来最高というべき記録である
旧・日本労働研究機構(JIL)
私の友人にも、その親が下崗させられて、貧しくて苦しい生活を数年過ごした人もいれば、親が下崗した後努力を積み重ねて企業家になった人もいた。
国営企業で働いている頃は、みんなの人生は大体似たような感じだったが、下崗があった後、人と人の生活は千差万別になる、と私は思った。いわゆる、みんな平等な社会主義から、個々人の努力と機会次第の資本主義に近づいたかも。どっちの方がいいだろうか、は人次第かも。
なんか深い話になったみたい、笑。
以上は、漫長的季節というドラマの紹介だった。このドラマで人性の善良も、嫉妬も、勇気も、暗闇も見れる。そして、家族愛、愛情、友情、正義への責任など、たくさんの感動があった。
まだ日本では見れないようだが、そのうち、見れるようになるだろうと思う。その前に、「バッド・キッズ 隠秘之罪~隠秘的角落」を見てもいいかもね。バイバイ〜
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